ミ ガ ワ リ


そんな私を見下ろしなが、看護師長は更にメスを右手に握った。

「母1人子1人で生きてきて、やっとここまで辿り着いたのに、貴女はそんな私達の幸せを壊した」

「まさか…
ここに誘導して、松山さんに襲わせたのは看護師長――」

「そうよ。
幻覚だと言って、貴女の周辺で異変を起こして追い詰めたのも私達…
貴女の慌てぶりは、とても滑稽だったわ」


看護師長はそう言って、私の肩口にもう1本メスを刺した。

「ぐっ…」

背中の傷は既に感覚が無くなり、足の傷からは激しい出血が続いていた。刺された左肩は既に2箇所の傷により、もう痛みは殆ど感じなかった。それでも、左腕は痺れて動かせなくなった。

ああ、私は自分の犯した罪により、今この場で裁かれるのだ。


その時、私はようやく気付いた。

あの幽霊事件も、看護師長と松山さんだったのだ。つまり、あの飛び下り自殺も――


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