次の瞬間、私は背中に違和感を感じ、右手を背中に回した。
廊下に赤い斑点がポツポツと現れた。
「か…看護師長?」
背中に手を回すと、棒状の物が1本突き出ていた。それは、治療用のメスだった。
メスが背中に、深々と刺さっていたのだ!!
そう気付いた瞬間全身に激痛が走り、私は看護師長の方に振り返った。
看護師長は能面の様な顔をし、5本のメスを手に持って立っていた。
「な、なぜ?」
その時――
私は自分の置かれている状況を、全て理解した。
左胸に付けられた名札に、「看護師長 糸井」と書かれていたのだ!!
「まさか、看護師長は糸井さんの――…」
看護師長は眉ひとつ動かす事もなく、動揺する私の太股に、もう1本メスをズッと刺し込んだ。
頭の先まで激痛が走り、とても立っている事が出来ず、私はその場に膝をついてしまった。
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