その瞬間――
右側から強い衝撃を受け、床に倒れ込んだ。金属バットは激しい衝撃音と共に、背後の壁を打ち付けた。
「大丈夫か?
ここは僕が食い止めるから、君は早くこの部屋から出るんだ!!」
「た…高宮さん!?」
あの夜と同じ様に高宮さんが私を庇い、私と松山さんの間に割って入った。
部屋の扉が開いた形跡も無かったのに、一体どこから入ってきたのだろう?
「早く!!
そんなに長くは抑えておけないから、早く逃げるんだ!!」
「でも、私は松山さんの婚約者を――」
「駄目だ!!
君にはまだ、やらなければならない事があるんだ。
だから、この場から逃げて!!」
高宮さん?
もしかして高宮さんは――
「いずれ分かる時が来る筈だ。だから今は、黙って言う通りしてくれ!!」
そう言って高宮さんは、松山さんに飛び掛かっていった。
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