ミ ガ ワ リ


「ま、待って…
私には、松山さん殺される様な理由はないじゃないですか!!」


私の言葉に松山さんの目が、カッと見開いた。

「理由がない?
ふざけた事を言わないで…
お前は私から全てを奪っただろう!!」


「全てを…奪った?」

私には思い当たる事が全く無かったが、ライターの話が脳裏に蘇ってきた。
ま、まさか――!!


「糸井さん…」


松山さんは一瞬驚いた表情をしたが、再び冷笑を浮かべた。

「どうしてかは分からないけど、知っているなら教えてあげる。

真之は…糸井は、私の婚約者だったのよ!!
もう直ぐ結婚式だったのに、それなのに!!」


私は愕然とし、目の前が真っ暗になった。


「殺してやる――!!」

そうだ。
私は自分の犯した罪の償いに、今ここで死ぬべきなんだ。


松山さんの振り上げた金属バットが私の頭目掛け、凄い力で振り下ろされた――


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