「おはよう!智香、奈々!
こんな時間まで朝錬するんだもん疲れ
ちゃうよまったく」
奈々ちゃんと話していると、まだ5月な
のにほのかに日焼けしたもう一人の友人
下坂夢が時間ギリギリでやってきた。
練習着を片手に息を切らしている。
「夢ちゃん朝練お疲れ」
と声を掛けながら、私は水筒から冷え
たお茶をついで差し出した。
「助かるわー、サンキュー」
「陸上部は県大会に向けて気合い入って
て大変だもんねー」
お茶を受け取る夢ちゃんを横目で見やり
奈々ちゃんが言う。
夢ちゃんはお茶をグイッと一気に飲み干
すと、うんうんと頷いた。
「そうそう。うちらの学校ってさ、特に
陸上とサッカーに力入れてるじゃん、
マジで大変だよ…
あ、奈々ちょっと下敷き貸して!」
奈々ちゃんの机に置いてあった下敷きで
夢ちゃんはあおぎ始めた。
普段男子から女の子らしく見られないー
って騒いでるけど、豪快にあおいでる姿
を見ると完全にこういうのが原因だなと
思う。
「サッカー部は今年も県大会優勝が期待
されてるんだよね…」
私がそう呟くと、夢ちゃんが思い出した
ように目を見開いた。
「そうだ!朝練が始まる前に聞いたんだ
けど、外山が智香を…」
夢ちゃんが口を開くと、ちょうどHR
開始のチャイムが鳴って担任の先生が
入って来る所だった。
「続きはお昼に聞かせてよね」
奈々ちゃんが残念そうに言うと、
夢ちゃんはニヤけながら了解っと答えて
下敷きを返し、教室の反対側にある自分
の席へ急いだ。
