「それなら、明日から何事もなかったよう
にしてればいいんじゃねー。
その内田って人がバラしても、普段どう
り平然としてれば誰も信じないよ」
「やっぱそれしかないよねー」
弟のもっともな意見に少し胸をなでおろす。
「人から完璧に見られたい為にいろいろ
我慢するとか、そんなめんどくさいこと
よくやるよなー
まぁ、1年以上も続いてるんだし卒業まで
頑張ればー」
俺はそんなめんどくさいことぜってー
続かないけどな。
すべてにおいて平凡な弟はそう言うと、
食べ終わった皿を片付けて自分の部屋へ
戻って行った。
私も部屋に戻ってセーラー服を掛けると
ベットに寝転がる。
何だか力が出ないけど、どこうしちゃいられ
ない。
予習、復習、友人が大好きなバンドの曲を聞いておくこと、
まゆ毛の手入れからパックまで、
日々の私をキープするためにやらなきゃ
いけないことが山ほどある。
智香は気を取り直して立ち上がった。
今日買った残りのドーナツは両親にあげ
ようと思いながら。