親戚の結婚式の写真。
ウエディングドレス姿の花嫁の両脇に立っ
ている幼い頃の私達。


花嫁のベールを持つ役を任された私達は、
初めて着るドレスに舞い上がっていた。

だが、ウキウキと撮った記念写真を後日
見てみると……


そこには小首を傾げニコッと花のように可
愛らしく笑う百合華ちゃん、

………と無表情で棒立ちの私。



可愛いポーズがうまくとれない私に親戚の
おばさんたちは、


〝もっと百合華ちゃんみたいに愛嬌ある
 表情で撮れないかなぁ〟



その頃からだ。
私は百合華ちゃんに劣等感を感じ、一方的
に張り合ってきた。

だがどんなに頑張っても百合華ちゃんには
勝てなかった。


私より可愛いことに気付いてた。
頭も良かった。


そんな百合華ちゃんに憧れて少しでも近付
こうと努力に努力を重ねて、

要領が悪く、苦手だった勉強も時間を掛け
て取り組み、外見にも常に気を使い…


そしてやっと最近隣に並べたかなとそう思
うのだ。


「だから今の学校でのポジションを何とし
 ても守りたいのよ!」


人から憧れられることに喜びを感じ、それ
に執着するのは、


やっぱり、百合華ちゃんという存在が
頭の片隅にいるからだと思う。