「うん……」

「市川屋のドーナツは僕もよく買うよ。
 手芸教室の近くだから、皆への差し入れ
 に」


ニコッと微笑むのを見て、

あぁ、内田くんのことをただ女々しい何て
思って悪かったな…と考え直した。


きっと内田くんは人を傷つけないようにと
考える、優しい人だ…


私のあんな姿を見たら、笑ったりバカにし
たりする人もいるだろうに…


内田くんはそれをしない。

ありがとう、と心の中で感謝した。



「内田くん、家庭科得意なんだね。
 テスト100点だったって友達から聞い
 たよ。
 あの最後の問題が解けたの内田くんだけ
 だよー」


ドーナツの問題が片付けば、次に気になる
のは今日のテストのこと。


さっきの私が晒してしまった醜態のこと
から早く話題を変えたくて、早口で畳みか
けるように言った。



「前にたまたま本で見て知ってたんだよ
 
 テストに出てた二ードルレースとボビン
 レース以外にもね…」



詳しい…
内田くんのレース編みの話は私が知らなか
ったことばかり。

内田くんは分かりやすく教えてくれた。


「そっか。すごいんだね…
 あっ…手芸教室って何時からなの?」



結構長くひきとめていたことに気付く。
教室に遅れてしまったらまずい。