夢ちゃんの後ろ姿は、部活が楽しくて仕方
がないという風だった。
一瞬運動部もちょっと良いかも何て思うが、
部活に全てをかけるなんて自分はごめん
だと思い直す。
普通の学校生活だけで充分だ。
「奈々ちゃんそれかして、私やるよ」
背の低い奈々ちゃんに替わって、生徒達が
返したお皿が溜まる返却口の高い方へ
3人分の食器をねじ込み
受付の前を通った時には、もう内田くんは
居なかった。
家が反対方向の奈々ちゃんとは校門で別れ
智香は駅へと続く緩やかな坂道を下って行
く。
今日は風が強いな…
智香の長い髪と膝まで延ばしたスカートが
揺れる。
電車に乗り込むとさっき見そびれたメール
を確認した。
和也か…
〝今日は市川屋のドーナツが
全品20円引き 俺は買ったぞ〟
自分と同じくドーナツ好きの弟からの連絡
に智香は歓喜する。
これは帰りに寄っていくしかない!
今月はまだドーナツを食べていないのだか
ら。
普段は美容のために高カロリーなお菓子は控えている。
それは大好きなドーナツも例外ではなくて、
いつも涙を飲んで我慢していた。
美容のため日々努力している智香だが、
ドーナツを全く食べないのは耐えられない。
ストレスで一杯になってしまう。
そこで月1回だけ食べることを自分に許し
た。
それがドーナツデーだ。
