「内田?あいつそんなに頭良かったっけ」
意外だという表情をしている夢ちゃんに
100点だったよと教えてあげた。
「マジか、他の教科じゃパッとしないのに
家庭科は出来るんだなー
智香に勝ったんだから立派なもんだ」
夢ちゃんの〝智香に勝ったんだから〟
という部分がグサリと響いた。
他の教科では全て1位を取ったのに、
家庭科で内田くんなんかに負けるなんて。
またあの時の悔しさが込み上げてくる。
「んー、内田くんは調理部だから家庭科は
得意なんじゃない?」
ちょっと首をかしげて奈々ちゃんが言う。
調理部か…
男子で調理部…何だか女々しいな
スポーツしてる男子の方が断然良い。
「調理部って部員何人いるの?私聞いた
ことないなー」
調理部なんて活動してるのを見たことがな
い。北校舎の1階に調理室があるから普段
あまり通らないってのもあるけど…
「調理部は三年生が二人と内田くん一人で
やってるみたい。三年生が引退したら、
内田君だけになっちゃうよねぇ………
食堂のおばさんに余った材料を貰って作
ることもあるって聞いたけど……
…………あっ、あそこにいた!」
奈々ちゃんがおばさん達がいる調理場の
方を指さした。
くっきりとした丸い目を持つ小柄な内田
くんが、
調理を終え受付のシャッターを閉めよう
としていた食堂のおばさんに、何やら
タッパーを渡そうとしているのが見える。
わっ、気付かなかった。
内田くんに注目したことがなかったから
かもしれない。
