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「急にお呼び立てして申し訳ありませんでした」

客間に通された私は目の前のハンサムなおじさんこと、千賀劉三さんに聞く

「あの・・それでお話というのは?」


すると劉三さんは、封筒を差し出してきた


「これは?」


劉三さんは曇った顔で答えた


「2年前に君のお父さんから送られてきた手紙です。」


「!!」


「私自身、『もし俺に何かあったら読んでくれ』と電話で言われていたので内容は先日知ったのですが・・・。どうぞ、お読みください」


「・・・・し、失礼いたします」


劉三へ

久しぶりにお前に向けて話すなぁ
元気か。
俺の方は、日に日に反抗期を迎えている娘に頭を下げながら、車をかわいがる日々です

そういえば、先日おまえのとこの事故車が運ばれてきて、もうすごいことになってたぞ
正直お手上げ状態だったが、おまえの作った車かっこいいから必死で直したよ
感謝しろ


で、まぁ車話は置いといて、だ

急に手紙を出したのは、1つ心配なことがあってな
それについて少しお前に頼みたいんだ

おまえも知ってると思うが、真知子が死んでもう14年だ。
俺はこの14年間必死になって苺を育ててきた

だけど、苺もようやく高校生になろうとしてる
そこで少し気持ち的にも余裕ができて、いろいろ考えてみたんだ。

あいつには家族が俺しかいない
もし俺に何かあって経済的、生活的にあいつが苦しむようなことがあったら
その時は、苺を預かってほしい。

あいつは、根がとても優しくて人想いで真面目な子だからきっとお前に迷惑をかけたりしない。

俺にとって苺は財産だ。
死んでも、捨てきれない財産なんだ。

だから頼みます
もし俺が駄目になったときは、あいつを預かってせめて成人するまでは養ってやってほしい。

どうか、お願いします


篠原徹