ざわつく教室では、友達同士がお互いの夏休みについて語り合っている。
「旅行が楽しかった」や、「夏祭りで会ったね」など、ありふれた会話が溢れていた。
しかし十夜達が教室にはいると、それは一度静まり返る。
次の瞬間には、女子からの黄色い歓声があがった。
それもそのはずで、三人はかなりのイケメンなのである。
「相変わらずすごいなー......。」
金切り声と言われるのも納得するくらい、その悲鳴はうるさかった。
十夜は鬱陶しそうに耳をふさぐ。
またこれがずっと続くのかと、うんざりしていたときだった。
「ねぇ、うるさいんだけど。」
十夜達の後ろから聞こえた声。
その声音から、今の悲鳴を嫌がっているのがわかる。
十夜達が振り返ると、そこには昨日の女がいた。
急に現れたその存在に、教室はまた静まり返った。
女は隣を見上げ、やっと十夜達に気付いたようだった。
「あ、昨日はどうも。」
たまたま目があった雷雨がぎこちなく挨拶をする。
女も微笑みながら挨拶を返した。
「どうも。
ちょうどいいや、ちょっと顔貸してよ。」


