「頼む。」

「ごめんね。
十夜って、喋るときは喋るんだけど、その逆もあってさ。」

気分屋なのかな?
なんにせよ、やる気があるのはいいことだね。

「じゃ、さっそく教えよっか。」

「待った待った!」

何だよ雷雨。
出鼻を挫かれちゃっただろ。

「そう不満そうな顔しないでくれよ。
あいつらにお前を紹介しときたいんだ!」

「あいつら?」

「そ。下にいる俺らの仲間!!」

おぉー。あの元気のいい集団か。
時間はたっぷりあるし、別にいっか。

「ほら、早くいこうぜー!」

「ちょ、押すな!」

「私もいくわ。」

ぐいぐいと背中を押される。
こけたらどうすんだ、このバカ!!

三人が扉から出た瞬間に、空気が変わったのを感じた。
うぉー、尊敬の眼差しとはああいうのを言うのか。

……視線が痛いです、はい。
紹介するんならはやくしてほしい。

「うぃーっす、お前らー!
お前らに紹介したいやつがいるんだ。」

これは、雰囲気的に自己紹介をする感じかな?

「ども。葵 天夜です。
えーと……よろしく?」

「クスッ。何で疑問系なのよ。」

いやー、よろしくで合ってんなかな~と思ってさ。
歓声が聞こえるからたぶん合ってたんだろう。