私は目を閉じてゆっくりと深呼吸をする。

あぁ、感じる。
うずくまっていた霊力が体の中を巡って、外に飛び出していくのを。
さっきまでと比べ物にならないくらい、体が軽い。

血行がよくなるっていうのも、こんな感じなのかな。

そんなことを思いながら瞼を持ち上げた。

「うぉ!?」

怪物がすぐ目の前にいた。
かっこつけてたのに、これじゃ台無しだ。

「なにやってんだアイツ……。」

ごもっともです、はい。
総長さんが呆れきっていらっしゃる。
これでも結構真面目にやってるんですよー。

「わわわ。」

油断しすぎた。
いつのまにやら、怪物は私を攻撃する準備満タンで、気づいたら怪物の大きな拳が迫ってきていた。

反射的に横に逃げる。
見れば、私がついさっきいた場所の地面は、見事にへこんでいた。
あ、危ね~。

怪物は次の攻撃を仕掛けようとしてくる。
けど、ちょっと動きが遅いかな?

「それじゃ、捕まえられないよ。」

口元に薄く弧を描いて、私は跳んだ。
怪物の頭を見下ろせるくらいに高く。