とある繁華街のとある昼下がり。

男三人がむさ苦しく歩いていた。

「マジ有り得なくね?
夏休み最後の日に男三人で歩いてるとかさ!」

そのうちの一人が、短い髪をムシャムシャとかきながら、気だるそうにため息をはいた。

「雷雨、それはしょうがないよ。」

「晴久......。」

「お前には彼女がいないんだから。」

「うるっせえ!!
つーか、それ別に関係ねぇし!」

雷雨は晴久という名の男に向かって叫んだ。

「というか、お前だって彼女いねぇじゃん。
『お前には』って、おかしくね?」

「残念。2週間前に彼女ができました。」

「は!?聞いてねぇよ!」

「そりゃ、言ってないからねー。」

穏やかに笑う晴久に、驚きを隠せない雷雨。

隣を歩く男の肩を叩きながら言った。

「十夜!
お前は知ってたのか!?」

「知ってた。
つか、いてーし、うるせぇ。」

十夜と呼ばれたその男は、叩かれた右肩をさすりながら、さも迷惑そうに顔を歪めてみせた。