いつの間にか
寝てしまったようだ。

朝の6時前に目を覚ます。

桜ちゃんは寝ている。
近寄って頬を触ると
よしよし
熱は下がってる。

よかった。

かけられていたブランケットをたたみ、部屋にいない田辺さんの姿を探す。

階段を降りると
美味しそうなコーヒーの香りに鼻を刺激された。

「おはようございます」

朝のひんやりする風が、台所の窓から入り頭がスッキリしそう。

田辺さんは白の半袖シャツにベージュのチノパン。
シャワーでも浴びたのか
妙にスッキリした顔で無精ひげもない。

桜ちゃんの熱が下がって安心したのだろう。

「コーヒーはいかがです?」

「はい。いただきます」

にっこり笑顔で言われ
私は返事する。

いつもの田辺さんだった。

あのキスは
夜中の夢だったのか

そんな気持ちにさせられる。

マグカップをもらい
少し酸味のある味を美味しく感じながら、ふとサイドボードのガラスに映った自分の姿に驚く。

髪がぼさぼさ
目も腫れぼったい
だらしない顔。

うわぁ恥ずかしい。
慌てて髪を手で直していると

「可愛いから大丈夫ですよ」
サラリと言われた。

こいつ
けっこうなタラシかもしれない。
ふと思った瞬間。