隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話


どうしても手を貸したくなるオーラ。
やっかいなものだ。

私は桜ちゃんの遠足の朝
超難しいキャラ弁作りを手伝ったり

桜ちゃんが高熱を出した夜
田辺さんに拒否されたけど
家に押しかけ看病をさせてもらう。

いや違う。
桜ちゃんが心配なのは本当だ
心から心配しているのは本当だけど

それより私は
彼に惹かれていた。

いつも優しく
穏やかで柔らかな表情をする田辺さん。

そんな彼が崩れた夜だった。

桜ちゃんが高熱を出し

田辺さんを拒否して
「お母さん」って叫んでた。

夜中の2時。
桜ちゃんの熱が下がり
ベッドに置いてから、私達はホッと一息。

「郁美さんありがとう。もう家に戻って下さい。ご迷惑かけました、ゆっくり休んで下さい」
言い方は優しかったけど
その表情は暗かった。

「私は大丈夫です。田辺さんこそ休んで下さい」

部屋の隅っこで
桜ちゃんの熱が下がって安心した疲れが出たのか、身動きできず壁にもたれて座り込み会話。

「僕は身体は大丈夫ですが……精神的にちょっとやられたかも」
手で顔を覆い
溜め息をしてから手を下ろし苦笑い。

らしくない表情。