隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話


ハッと我に返ったように、さっきまでの疲れをぶっ飛ばし階段を駆け下りる。
タウンページで写真スタジオを検索し、幼稚園ママさん情報によるお値段が安くて、上手に撮影するお店に電話して予約する。

よしよし!

「桜ちゃん。明日ランドセル持って写真撮影に行こう」

プリンを頬張る娘に声をかけてから、隣の実家に電話をし、晩ご飯を食べに行く予約をつける。

今日は桜ちゃんの髪にトリートメントパックをしよう。
明日の為に髪の毛サラツヤだ。

終わったことの喪失感より
次に進む事も大切。
って言うより
喪失感に浸りすぎると、誰かさんみたいになるから動きましょう。

デジカメも持って行こう。
ヨーカドーで買った、入学式に着る服も持って行こう。

「クマちゃんのぬいぐるみも連れて行っていい?」
笑顔で聞かれて『おっけー』と返事。

亡くなったお母さんからもらった大切なクマちゃん。
こっそりと画面に入れたい。
ダメならデジカメで写そう。

うんうんと
ひとりで腰に手を当て仁王立ちになってると

「みんなでとる?」って、あどけない口で聞かれてしまった。

みんな?

「さくらと、お父さんといくちゃんママでもうつす?」

家族写真。
それは頭になかった。
桜ちゃんのランドセルイメージが大きかったからなー。
返事に困っていると

「そうだね。家族写真だ」
背後から紀之さんが現れ、私の肩に手をかける。

「みんなで撮影決定」

決定だそうです。
マッサージしてパックして寝よう。