元気いっぱいのパパと娘。
あぁ平和だわぁ。
ぼんやりと見ていると
「桜といくちゃんママ、ちょっとそこに座っていて。目を閉じて座っていて」
と、彼に言われ
私は桜ちゃんと並んで
目を閉じてクスクス笑いながら座っていると。
「いいよ」って声がして、目を開けるとふんわりと優しい香りがした。
私の目の前には
綺麗な花束が広がっている。
チューリップ・フリージア・スプレーバラ・ガーベラ……私の好きな花ばかり。
パステルカラーを基調とした
優しい色合いで統一している。
「大きい!」
隣を見ると桜ちゃんは、大きなプーさんのぬいぐるみを抱いていた。
また
ぬいぐるみが増えたね。
嬉しそうに抱きしめる様子をみると、もっと増やしてあげたくなるのはなぜだろう。
ぬいぐるみを増やすというのか
桜ちゃんが喜ぶ顔を見るのが大好きなんだよね、大人達は。
「いくちゃんママ、お花きれいだね」
桜ちゃんも目を丸くする。
「それは郁美さんのだから」
意志を持った目で
しっかり強く彼は言う。
お花のイメージは
どうしても仏壇の奥さんに飾る花ってイメージだから。
一緒に暮らすようになってから
隣の実家の庭から勝手にいただいたお花もそうだし、紀之さんからプレゼントでもらった花も、相川先生が受賞パーティーで余ったからともらった花も、全て亡くなった奥さんに飾っていた。
自分の為の花束。
奥さんの部屋に飾らなくていい花束。
彼は気を使っている。
私がこの家で
引け目を感じないように気を使ってくれていた。
「ありがとう」
その優しさに幸せをかみしめる。



