隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話


入って遊んでいったらと、提案したけれど、ゆうと君はバレンタインにもらった分のお返しが忙しく、すぐ帰ってしまった。

桜ちゃんと私は外に出て
ゆうと君をお見送り。

桜ちゃんは大きく手を振り、軽自動車が見えなくなるまで、ずーっと笑顔で見送っていた。

いいなぁ青春だ。

「なにが入ってるかな」
さっきのプロポーズの意味を、わかってるのかわかってないのか、桜ちゃんは意識をプレゼントに戻し、私と手を繋いで家に入った。

居間では
もうグッタリした夫がソファで横たわる。

「お父さんどうしたの?ねむたいの?」
桜ちゃんが傍によって、ポンポンと叩くけど動かない夫。

ダメージ強いな。
しばらく放置しておこう。

桜ちゃんと一緒に、ゆうと君からもらった袋を開け、ワクワク気分で覗く私。

なんだろ
なんだろ

プレゼントを開ける瞬間って楽しい。
中に入っていたのは

可愛いクッキー
メモ帳
シール
リンゴのヘアピン
カラーゴム
オレンジの香りがする消しゴム
カラフルなペン。

ゆうと君おそるべし
幼稚園児の女心をくすぐる品物が揃ってる。

素晴らしいわ。

盛り上がる桜ちゃんと私の前に、紀之さんが急にソファから起き上がり、桜ちゃんを真剣に見る。

「桜」

「なぁに?」

「お父さんとゆうと君、どっちが好き?」

何を聞くかこの男!

すると桜ちゃんは迷いもせず

「お父さん」って答えてくれた。

お父さん
元気100倍。充電完了。パワーアップ。生き返りました。

てか桜ちゃん
返事が早すぎる。

ゆうと君
桜パパは意外と手ごわいかもしれないよ。