隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話

「明日は桜が帰ってきたら、すぐ出かけましょうか」
大人げない奴。

「冗談言わないの。桜ちゃん、ゆうとくんが来るの楽しみにしてるんだから」

「特定の男はまだ早いでしょう」

男って……幼稚園児ですけど。

「もう!落とし穴とか作らないでよ」って言ったら、なぜか表情が明るくなる。

こいつ
本気で穴でも掘ろうとしてるのか?
そんな事したら
逆に突き落してやる。

雑誌を手にして
一発軽く彼の頬を殴るそぶりをすると、その手を捕まれて身体に入れられた。

「さっ……桜ちゃんが降りてくるよ」
こんなとこ
見られたら大変。

「降りてきませんって」
余計に腕の力が強くなり、しっかり抱かれてしまった。
男の人の力を感じる。

「見つかったら恥ずかしいもん」

「照れ屋のいくちゃんママ」

「娘溺愛のパパ」
さりげなく言うと
そっと顔を近づけて首筋にキス。

「娘だけじゃなくて、いくちゃんママも溺愛してる」

柔らかい唇が首筋をはい
甘い吐息が耳にかかる

「独占欲が強い男だから」

その声にふらっときて
指を絡めて身体を崩していると

「いくちゃんママ!さくらは……あれ?……」

お子様忍者が
風のように自分の部屋から降りてきた。

さぁどーする

過去のごまかしとしては

マッサージしてました。
目にゴミが入ってました。
今回はどーする紀之さん!
目を閉じて
彼のナイスな言い訳を聞く前に

「お父さん。いくちゃんママとちゅーするの?」

あどけない
桜ちゃんの質問が私達に降り注ぐ。