隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話

「部活とかやってた?」

やってないだろうな
なんたって文系だもん。

すると本人
長い指で慣れた手つきでコーヒーフィルターをセットし、豆を流し込んでから

「バスケやってました」
あっさり返事。

驚愕の事実。

「うそ」って言って
思わず背中から反射的に離れてしまった。

このたよりない
文系のひょろっとした
人とぶつかったら絶対倒れそうな
根性のなさそうな
走るの嫌いそうな
運動が苦手そうな
貧血起こしそうな
チームプレイの似合わない
汗が似合わないこの人が

バスケだと?

「けっこう上手いんですよ。春になったら、庭にバスケットゴールを買って設置しようって思ってました」

静かに言われた。

まだまだ
彼の事で
知らない事が多すぎる私。

「郁美さん」

「はい」

「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」

やっと振り返り言ってくれた一言。

安西先生
バスケがしたいんです……。スラムダンクは名作です。