隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話

「一緒に頑張りましょう」
そっと彼は私の顔を触り自分に向ける

「ひとりで胸の中で貯め込まないで、口に出すだけで楽になるから、それから一緒に頑張りましょう」

「うん」

そっと唇を重ねる。

「まずは何?」

甘いキスに心配事が溶けてしまいそう。

「おひなさまとホワイトデー。桜ちゃんの入学式に着る服と、写真撮影をして、あちこちに配りたい」

紀之さんの実家
亡くなった奥様の実家
隣の私の実家もきっと欲しがるだろう。

「了解」

優しい声と優しい顔と
優しいキスに

いつも私は騙されて

丸め込まれて


身体と心を溶かしてしまう。