悪い夢を見た。
私が風邪を引き
37℃前後で、なぜか入院し
全ての準備を夫が全てやらかし
入学式の日
桜ちゃんの服を用意してなくて
パジャマでランドセルを背負わせて、行かせたという夢。
「うわぁ」って
自分の声で目が覚めたら
「郁美さん?」って心配そうな声がした。
目の前には紀之さんの綺麗な顔。
「……ごめん。起こした」
冷や汗がでそうな夢だった。
いや
夢でよかった。リアルでアリな夢。
「大丈夫?」
「うん。ごめんね」
彼は笑って私をそっと胸に抱く。
あったかい。
私はぬくぬくと甘えてしまう。
「悪い夢見た?」聞かれて「うん」って答えると。
「悪い夢を見たらね『ばくさん、たべてください』って、ばくさんにお願いしたら、ばくさんが悪い夢を食べてくれますよ」
優しい声がそう言いながら
そっと髪にキスをする。
「ファンタジーだね」
「コンビニのお姉さんに教えてもらいました」
はぁ?
「レジのお姉さんが言ってました。『大和田獏じゃないでー』って」
なぜコンビニのお姉さん?
コンビニでどんな会話してる?
「こんな法則は知ってますか?『自分がされて嫌な事は人にするなー』と……だから郁美さん」
「はい」
「“算数セット”の名前付けは、一緒にやりましょう」
上手くつなげて
また丸め込まれた。



