気付けは朝だった。
「いくちゃんママおはよう」
桜ちゃんの小さな手が私の頬をペチペチ触る。
「いくちゃんママ。ごはんのじかんですよ。あさごはんに行きますよ」
もう少し寝かせて欲しい。
枕を移動させ
布団に潜ろうとしていたら
自分の家の枕じゃないのに気づく
そうだ
北海道だった!
慌てて起きると
桜ちゃんはにっこり笑って私を見つめた。
「いくちゃんママ。おねぼうさんですね。さくらはもうおふろに入りましたよ」
え?何時?
今何時?
あぁ起きようと思っていた時間より1時間オーバーしてるし。
「ごめんね。急いで支度する!」
半分叫びながら着替えを持ってバスルームに入ると、紀之さんも追って入る。
「まだ時間あるから大丈夫ですよ。札幌駅は目の前だし空港までの列車は沢山出てる」
「ありがとう。あの……紀之さん」
「はい?」
「私……あの後……」
恐る恐る
上目づかいで夫を見上げると
「熟睡でした」
そう言って
ぷにーっとほっぺたをつかまれた。
すんません。
せっかくの大人の時間を。
でも
熟睡できました。



