「これは我が家に伝わる秘薬です」
おもむろに私は彼に白い錠剤を手渡した。
「ただし、一回きりの効き目です。これで効かなければ病院へ行きましょう」
「強い薬?」
恐る恐る紀之さんはドヤ顔の私に聞いた。
「魔法の薬です。腹痛に効きます」
「……ありがとう」
夫は錠剤を飲み
横になってから小一時間すると
「郁美さんすごい!本当に秘薬だね。あんなに痛かったのに治ったよ。ありがとう」
目を輝かせながら私に礼を言い
走って二階の桜ちゃんの元へ行ってしまった。
ドラッグストアで買った
20%オフの整腸剤……グッジョブ。
さてー
私も支度しよう。
窓の外を見ると青い空が広がっていた。
北海道の空の色は
もっと青いのかなぁ。



