隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話


まずは荷造り

桜ちゃん
自分が入れるくらいのトランクを持って来て、ぬいぐるみを2・3匹入れていた。

ぬいぐるみは
お留守番させようね。

「桜。必要な物だけにしなさい」
クールに言う紀之さんは
トランク2つ抱えてるし。

「何が入ってるの?一泊二日だよ」

「なんたって北海道でしょう。寒いかもしれない」

いや
いくら北海道でも5月にダウンはないわー。

「僕、北海道は初めてなんですよ」
テンション高く彼は言う。

あら
いいとこのお坊ちゃまが珍しい。

「え?行った事ないの?」

「郁美さんはあるの?」

「友達と行った」そう答えたら「すごい」って尊敬されてしまった。

そうなのか
紀之さん行った事ないのか
なんか
ちょっと自慢気になってしまう。

「僕は羽田も久し振りで」

「そうなんだ」

「いつも成田ばかりだから」

「え?」

「羽田もあるけど国内線ターミナルは行った事ないんですよ。いつも国際線ばかりで」

「……そーなんだ」

「留学だ遊びだって海外ばかり行ってると、国内みたいに距離が短いと逆に楽しくて……」

やっぱり
いいとこのお坊ちゃまだこいつ。
自慢気になった気持ちがポキリと折れる。

くやしいーーー!
庶民の叫び。