「葵ちゃん。ありがとう」
お留守番の葵ちゃんにお礼を言うと
「いいんです。楽しかったですよ。ねーっ」
「チョコとあおいちゃんとさくらであそんだよねー」
語尾の『ねー』が、楽しい時間を物語る。
「あおいちゃんも犬がすきなんだって」
「そうなんだ」
私と桜ちゃんの言葉を聞き
葵ちゃんは笑顔でうなずく。
「大好きで欲しいんですけどね」
「飼ったら?。相川さんの家なら大きいし広いし。相川さんは犬が嫌い?」
そう聞くと
「……相川さんだけで、手がいっぱいだから飼えません」
フッと大人の遠い目をする葵ちゃん。
どんだけ苦労してる?
「それにペットって飼い主に似るって言うじゃないですか。うちの飼い主に似たら。へタレで常識無くて、泥棒が入っても逃げて涙目の犬になります」
それを言われると
我が家はどうなる。
同じくへタレで情けなく臆病な根性なしの犬になりそうだ。
いかんいかん!
思わず頭で否定する。
桜ちゃんに似ますように。
と、そこへ噂の飼い主登場!
軽トラからゲージを持って来て運びながら
「葵ちゃん。庭の桜でみんなでお花見しよう」
明るく元気に爽やかに
イケメン野郎が葵ちゃんに声かける。
そんな急に言われても……
すると葵ちゃんは
「いいですね。しましょう!」ふたつ返事でOKを出す!
えっ!!
返事が早すぎる!それが若さか?



