「郁美さん」
「無意識にそうなったらどうしようって不安がいっぱいで怖いの」
気持ちが定まらない
イライラが止まらない
調子が悪い
泣きたい
こんな心の変化も嫌。
「大丈夫」
落ちついた声を出し
彼は私の頬を自分の両手で包む。
「僕と桜で、郁美さんと赤ちゃんを守るから大丈夫」
「紀之さん」
「心から大切にして可愛がって愛するから大丈夫。郁美さんは差別なんてしない。絶対大丈夫」
「……ありがとう」
感情もあらわにして
彼に抱きつき涙を浮かべていると
あれ?
その起伏する感情が
自分の身体の中で何かを生み出す。
「ちょっとゴメン」
妊娠検査薬を彼に持たせ
そのまま私はトイレに駆け込むと
あ……いらっしゃいませ。
遅れてるモノがやってきた。
妊娠前に気分が上下するらしいけど
この今現在の気分の上下は
生理前の上下ってやつか。
ただたんに
珍しくも
生理が遅れていただけでした。



