「さくらはイモウトがほしい」
そうか
欲しいのか
ヨーカドーで買ってくる?
いやー
売ってたら怖いわ。
「たくさんメンドウみるよ」
目をキラキラさせて私に言う桜ちゃん。
犬か妹か
それが問題だ。
そのセリフって
リヤ王だっけ?
ハムレットだっけ?
気分はシェークスピアだな。
「桜。ケーキが沢山あるから、隣のおそば屋のおじいちゃんとおばあちゃんに持って行ってくれるかい?」
紀之さんが言うと
桜ちゃんは元気に「うん。さくらもとなりのおそば屋さんでたべてくる」と返事をして、お皿に三つケーキを入れて丁寧にラップを張り隣の私の実家へ行ってしまった。
紀之さんナイス。
「僕達も食べようか」
「紀之さん……あのね……」
「桜の言う事は気にしないで。郁美さんの考えはわかってる。まだ自信がないんだろう。ゆっくり進もう。今は家族三人で仲良く暮らそう」
私の言葉をさえぎり
彼は優しく微笑み私の額にキスをする。
まだまだ新米ママさんだから
桜ちゃんの妹か弟は考えられない……って彼に言った私。
でも違うのよ
毎月
来るべきものが
今月来ないのよ
こうなってくると
余計
話を切り出しずらいわ。



