「可愛い名前だね。桜ちゃんはブループラネットのファン?俺と亮平のどっち好き?」
優しい顔で癒し系王子の純哉君が桜ちゃんに聞く。
いいなぁ桜ちゃん。
私は純哉王子のファンなのよ。
すると桜ちゃんは
「さくらはコリアンダーのさわいくんのファンです」って堂々と言い、会場は大爆笑。
一年生。オチを知ってる。
「早くお母さんの所に戻りなさい」
メガネをキラリン光らせ
純哉君は桜ちゃんの頭を撫でる。
亮平君は笑って「はい。では……3000円からスタートです」って桜ちゃんを抱き上げて前に突き出した。
おいおい!
売らないでーー!
「一万円!」
紀之さんが大きな声を出し、舞台に上がって亮平君から桜ちゃんを受け取った。
てか
一万円かよ……。
「ネタを邪魔した罰として、そこに座って大人しく見てなさい」
純哉君はステージの裏からパイプ椅子を二つ持って来て、一番前に並べる。
「プルプラのお兄さんありがとう」
桜ちゃんは大きな声でお礼を言い
紀之さんは頭を下げて桜ちゃんを椅子に座らせ、私を探して確認してから手招きをする。
私はまた人混みを頭を下げ
前に行き
紀之さんが桜ちゃんを膝の上にのせ
隣に私が座る。
「いくちゃんママ。座れたよ」
笑顔の桜ちゃんを見て
ホッとして思わず涙がポロリ。
「いくちゃんママ?」
「よかった」
私は小さく言い
桜ちゃんの手を握った。
「後から説教ですね」
小さな声で紀之さんは私に囁いた。
それも……怖いな。



