隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話


アイスを食べ終わり
私は桜ちゃんと手を繋ぐ。

「迷子になったら困るから。手を繋ごう」
そう言うと
桜ちゃんは嬉しそうに「うん」って返事をする。

よしよし。
もう手を離さないぞ。

それからは絶好調。
予定通り色々回り
アイスを食べたせいか
桜ちゃんはお腹が空かないようで

先にプループラネットのライブを観てから、ご飯を食べましょうってなったけど

ライブ会場は人でいっぱい。
人の山
頭しか見えない。

これは
桜ちゃんは紀之さんに抱っこしてもらおうか
そうじゃないと観れないかも。

前の方にはイスがあるけど
もう座る場所はなく
後ろの方はみんな立ち見。

二階の吹き抜けから見えるかな。
でも高所恐怖症の紀之さんは拒否するだろう。

「桜ちゃん。人がいっぱいだからダメかも」

司会の人の挨拶が終わり
大歓声と共にブループラネットの2人が舞台に立つ。

桜ちゃんに見せてあげたいけど
この後ろの場所からじゃ
背の高い紀之さんは見えるけど
私はつま先立ちでちょうどよく
桜ちゃんは絶対無理。

どうしようかな
いい場所ないかなーって
紀之さんと話をしようと思ったら

「さくら、ばしょをさがすね」って
小さな手が
私の手をパッと離す

「桜ちゃん!」

小さな影は
みるみるうちに人影に隠れて消えてしまった。

また手を離しちゃった。

あぁ
どうしよう……。