隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話


紀之さんは立ち上がり
顔を真っ赤にさせて怒りまくる。

「俺の妻をバカにするな」

俺?
俺って言った?

「座りなさい」
お父さんの鋭い声にも負けず

「黙れ!こんな最低な席。こっちから出てってやる」

大きな声で怒鳴り
膝に置いてるナプキンをテーブルに叩きつけ
彼は乱暴に私の手を取り思いきり引っ張る。

ヒールが高いからコケるーー!

「あ……すいません失礼します」

警察に連行された犯人のように、彼に引っ張られて個室を出る私。

彼の怒りは止まらない
身体全体から怒りオーラが出まくってるし。

「紀之さん」

私の声も聞かず
ツカツカと手を引っ張って歩く彼。

「紀之さん」

返事もなく
エレベーターの前に行き
ボタンを押して
小さな箱に入る私達。

「紀之さ……」

三回目に名前を呼んだ時

彼は私の身体を壁に押し付け
怒りオーラの両手をドンと壁にぶつけて私を両手で挟む。

あ……イケメンからの壁ドン
携帯小説の企画でやってたな

いや
そんな場合じゃないし。