「僕はそんなに甘くないですよ」

彼はそう言って
二階から降りてきた桜ちゃんから折り紙を取り上げ、鉛筆を握らせる。

「全部の数式を書いて答を出すまで、今日の晩御飯は抜き!」

「ええーっ!」

可愛い目が私にすがるけど

「さーて今日は桜ちゃんが大好きなシチューだよー。美味しくできたよー」

歌うように言い
可愛い娘と夫を背にして台所に入る私。

「お父さんとおりがみしたい」
「算数が終わってから」

争う2人の声も愛しくて

シチューを煮込んで

幸せな奥さんしてます。

 


【完】