気が付けば明け方。

私が抱きしめているのは
桜ちゃんじゃなくて

彼の身体だった。

「あ……」
寝ぼけまなこで時計を見ると、午前5時。

朝帰り決定。

まぁ横目で着替えを取りに行ったのは見られいて、色々バレてるけど朝帰りの説教は逃れられないかも。

私の気配に気づいたのか
彼も目を覚ます。

「桜ちゃんは?」

「部屋に戻した」

綺麗な顔が近づいてきて
そっと唇を重ねる。

「桜をありがとう」

「ごめんね、勝手に泊り込んで。きっと帰りが遅いだろうと思って」

「ありがとう」

深く甘いキスが止まらない。

「話し合いはどうなったの?」
服を脱がそうとしている彼の手をつかみ、ジッと目を見ると

「もう大丈夫。彼女は桜をあきらめた」

「本当?」

「彼女の恋人も出てきて、三人で話をした。僕は桜を誰にも渡さない」

ニッコリと彼は微笑む。

彼の笑顔は久しぶり。

これは本当に……私達の勝利?

「本当?」

「しつこい」

「嬉しい」

強く強く彼に抱きつき「郁美さん苦しい」って笑われた。

「今はそれでいいと思う」
彼の手が優しく私の髪を撫でた。