彼女は来た。
日曜日
心がざわつき落ち着かず
二階の自宅の部屋から覗く私。
覗きはいけません。
でも
気になってしかたない。
パンと牛乳を窓際に置き
しっかりサーチする私。
刑事か。
9時半
先日来た黒い高級車がまた隣の敷地に入り
5分後にすぐ出て行った。
行動が早い。
たぶん
桜ちゃんは玄関で用意して
ずっと待っていたのだろう。
スマホが震え彼からメールが届く。
【桜は行きました】その一行。
哀愁漂う一行だった。
どうか神様仏様。
桜ちゃんが笑顔で帰って来ますように
楽しかったと
喜んで帰ってきますように。
私みたいなのがこんなにドキドキハラハラだから、田辺さんなんか倒れてるんじゃないだろか。
【そっちに行こうか?】
指を動かし返信すると
【大丈夫。ありがとう】そんな返事。
彼がそう発言する時は
全然大丈夫ではない時だ。
行こうか……でも……いや、止めておこう。
少し
ひとりになりたいのかも。
【寂しくなったら電話してね】
追加メールをしたけれど
彼から連絡は来なかった。
桜ちゃんは
ピンクのアサガオネックレスを
無事渡せたろうか。
たくさん
喜んでくれただろうか。



