「ヤッちまったのか?」

ヤーさん顔のお父さんが、私の後ろで大きく叫ぶ。

「はぁあ?」
とんでもない顔と声で振り返ると

「しょうがないでしょう。こんな場所に置いておくお父さんが悪いでしょ」
お母さんが負けずに厨房で叫んでた。

どうやら
ネギを多く切りすぎた様子。

あー焦った。
なんでお父さんが
彼とのあの夜を知ってるんだと思っちゃった。

心臓に悪いわ。

土曜日の朝

店の前を掃除しながら
隣の家を見上げる。

明日
桜ちゃんに会いに

本当にあの人は

やってくるのだろうか。