隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話


目の前の光景が信じられなかった。

桜ちゃんはその女性に抱きついた。

「おかあさん?さくらのお母さん?」

大きな目に涙を浮かべ
女性に抱きつき
わんわんと声を上げて泣き出した。

「さくらの?さくらのお母さん?さくらはあいたかった」

見ていてこちらが切なくなるような
胸が張り裂ける光景だった。

小さな身体は女性を強くつかみ離さない。
もう離すものか
もう絶対離れたくない

ずっとずっと会いたかった。
ずっと憧れたお母さん。

友達にはいるけど
桜ちゃんにはいなかった。

顔なんて覚えているのかいないのか
桜ちゃんがもっと小さい頃に出て行ったお母さん。

だけど
桜ちゃんにとってはお母さん。

憧れていたお母さん。

どんなに自分勝手でも
例え捨てられていても

桜ちゃんにとっては

大好きなお母さん。

自分のお母さん。