相沢の前でそう宣言した瞬間、もやもやと心を覆っていた黒い感情が、一瞬で消え失せた。
もう、なりふり構ってる暇はない。
寧々が俺の子供じゃないことなんて、エリカを失うことの辛さに比べれば、ほんの些細な事にしか感じなかった。
二人共、俺が絶対に幸せにしてやる。
何か言いたげな表情の相沢と、俺の放った言葉に興奮している白鷺に別れを告げ、その日は自分の滞在するホテルに戻っていた。
ここで逃げられたら、元も子もない。
そんな不安から、エリカに連絡することは出来なかった。
相沢から連絡を受け、エリカの泊まっているホテルの情報は得ている。
あいつの顔を見ながら、正直に俺の気持ちを伝えよう。
その夜は興奮して、案の定全く眠ることが出来なかった。
明くる日、俺は神妙な面持ちでオーダーしていた指輪を受け取りに行った。
二つ並んだプラチナリングを見つめながら、何度も気を引き締める。
エリカを取り返すことは、おそらく容易にはいかない。
すでに自分の両親には、結婚したい女とすぐに孫ができるかもしれない旨を伝えてある。
いきなりで驚かれはしたが、一向に結婚に興味を示さなかった俺の突然の報告に、両親も喜んで賛同してくれた。
……生半可な決意じゃないんだ。
これからの人生を、全てエリカに捧げるつもりで。
俺は東京行きの新幹線に、颯爽と乗り込んでいた。
