妖精と彼








妖精は所属が決まっていて、必ず"何か"の妖精、ということらしい。









『きほんてきには、その"なにか"をまもるものが、ようせいです。わたしも、このさくらのきをまもったり、おおきくしたりしています。』




『そして、かみはようせいをとりまとめたり、ゆたかにするのがしごとです。』






『あいさんのおとなりには、おんせんのようせいか、かみがいるのでは……?あいさんのいえのせんとうを、きれいにしたりしてるのではないでしょうか?』









「………………」









思い返し限り、トウくんにうちの銭湯をキレイにしてもらったことなんか、一回もないけどなぁ………。



俺の心の愚痴には触れず、さくらは話を続けた。









『……ですが、かみはひとところにとどまることはゆるされません。』









…トウくんは、既に3年くらいいるけど…?
同じところにいられるってことは、やっぱり、彼は妖精なのか?


ますますわからない…








『ようせいもずっといきていられるとはかぎりません。しょぞくする"なにか"がこわされたときなどには…ようせいとしての、ちからをうしないます。』







「……えっと、つまり……」







『たとえば……このさくらのきがきられたら、わたしは…ようせいとしてのちからをうしないます。』







自分が所属する、対象物が壊れたり無くなってしまうと、妖精としての力を失う。
…じゃあ、その後って……?