妖精と彼









そして、さくらはゆるゆると視線をあげて、俺に視線を合わせた。
何だかまだ、不審そうな顔をしている。





『…………それって、ようせいじゃないですよね?』






「えっ?」



『えっ?』






………二人とも、ポカンとしていた。
この場はもはや、混沌に包まれている。








「え…?『妖精じゃないですよね?』ってなに?」






『え、だって…そんなことようせいにはできません。あいさんもしってるでしょう?』






「…….」






やっぱりそうだよな…、と確信する。
本物の妖精もそういうなら、間違いなく情報操作はできない。




じゃあ、トウくんの正体は…一体何なんだろう…?








「………妖精じゃないなら、彼は…何なの…?」








さくらは、少しためらうようにしながらも質問に答えてくれた。









『おそらくですが……かみ、だとおもいます。』