妖精と彼








しかし、姉さんの意識はもう夕飯へと切り替わっているようで、出かける準備をしていた。




…あぁ、夕飯って、トウくんを追い出すためのウソじゃなかったんだ…。





姉さんは、バッグを持つと笑顔で俺の方を見た。





「愛、どこにご飯食べに行きたい?」



「俺は……姉さんが行きたい店ならどこでも。」





姉さんは、一緒にご飯を食べに行く時はよく俺に行きたい店を聞いてくれる。
けれど、俺はあまり食にこだわりがない。




むしろ、姉さんが好きなものを食べれる店ならどこでも良い。





さっきのは、よく俺がする返事だったけど、今日はその返事を聞いた姉さんは……ちょっと不満そうな顔をしている。





「いっつもあたしの食べたいものを食べてるから、今日は愛の食べたいものを食べに行こうよ」









「…………。じゃあ…」






姉さんが納得しないので、「じゃあ、」なんて言ってみたものの…本当は食べたいものなんて何も考えついてはいない。




それでも、俺のリクエストが飛び出しそうになっているのを見て、姉さんは嬉しそうな笑顔になった。





「……立ち食いステーキで。」






ふと思いついただけで、実はそんなにステーキを食べたいわけではなかった。