妖精と彼







トウくんは、桜の花びらを乗せた手のひらをギュッと握る。
…少し時間を開けて開いた手のひらには、もう何もなかった。




「…………!」






トウくんは、俺にだけ聞こえる小さな声でそっと話す。



「コレは…そういう"能力"がある人にしか見えない。…そういう存在だからね。悠ちゃんには、そういう力はないから。」




「……トウくんも、見えるんだよね?」





そう尋ねると、トウくんはうんうんと何度も頷いた。





「うん。俺は…妖精だからね。」





トウくんと話していて、やっぱり違和感を感じる…。
今日あった、さくらが桜の妖精だとしたら、やっぱりトウくんとは気配が違う。



目の前の彼は、本当に…"妖精"……?





「ねぇ、トウくんって本当に…」



「さーて!もう帰ろっかな!」



「……は…?」







俺が質問しようとした瞬間に、トウくんは会話の途中なのにベランダのガラス戸を開けた。
そして、部屋から出た。




「なんかお腹すいちゃったから帰るねー。じゃあね、悠ちゃん☆愛くん☆」




「はぁ…?ちょっ、………」