妖精と彼






俺の表情は変わっていなかったものの、一瞬目を見開いたのを見て、トウくんは驚いたことに気付いたんだろう。





…それにしても、俺が喜んだことがそんなに嬉しかったのか……。
トウくんの誇らしげな様子がムカつく。





無言で睨みつけると、トウくんは泣きそうな情けない顔になる。




「ひぇえ…愛くん怖いよぉー」







なんて情けない声で言いながらドアをそっと閉めようとする。


…俺はそれを阻止するべく、ドアをガッと掴んだ。






「うわああぁ!愛くんめっちゃ怖いー!」
「だからトウ、うるさいってば!!ヤマさんの名推理が聞こえないでしょ」







部屋の中から姉さんの怒りの声が響き、トウくんは肩を震わせた。



姉さんはずっと静かだと思ったら、「飛び出す刑事(デカ)」のヤマさんの名推理特集(自作)のDVDを見ていたらしい。
ヤマさんは劇中に登場する、姉さんが大好きな刑事だ。





さすがに俺とのやり取りを行うトウくんがうるさかったんだろう。
姉さんが、トウくんに向かって怒り出す。