シフォンの白いスカート。
茶色の編上げのブーツ。
黒いタイツ。
ピンクのふわふわのシャツ。
こげ茶色のカーディガン。
その上から、分厚いコートを羽織る。

白いマフラーを巻いて。

「…よし、変じゃない…よね。」

電車の中で鞄を抱き込むようにして座る。

日向と二人きり、という状況に対して緊張しないとはいえ。
周囲から見て、日向に迷惑をかけるような服装で行くわけにはいかない。

そんな無駄な使命感からいつもより少しだけ頑張った格好。

―それに。
これって、どちらも意図していないとはいえ。

「デート」

なのでは。

そのことに気付いたあたりから無駄にぐるぐると考えが頭を回る。

誰かに見られたらどうしよう、とか。
日向は気づいているんだろうか、とか。
やっぱりいつも通りの方がよかったんじゃないかな、とか。

いつもなら考えないことまで考えてしまう。

―次は…

と、電車のアナウンスが流れるまで、必死に鞄を抱きしめていた。
待ち合わせの場所であり目的地でもある、駅。

映画館はもちろん、ショッピングセンターやファミレス、喫茶店にゲームセンターなど様々なものが集合している駅前。
都心部にありがちな光景だろう。

目印の、駅前の変な銅像の前。

待ち合わせの十分前。

ふぅ、と息を吐いて銅像の傍に立つ。