なんだよ、と言うと、セルリアは口を閉じ、よろよろと座り込んだ。
さくらも治癒の手を止め、リヴィアスと共にセルリアを見つめると、暫くしてゆっくりと口を開いた。

「――なんでもない」

まぁいいわ、とセルリアはため息をつくと、さくらの後ろで寝かされている蓮華を見て、複雑そうな顔をした。
まるで、不安でたまらない、と言いたそうに。

「とりあえず、なんかあったらリヴィアスのせいよ。
何もないようにしてよね」

何も言わないのに首をかしげながらも、わかってる、とリヴィアスは呟くように言った。
それを見計らって、さくらが口を開いた。

「明日の朝には起きると思う。
その時に、この子に経緯を話してもらおう?」

「…うん」

その言葉に頷いたのを見ると、さくらは蓮華を抱えて部屋から出ていった。
それを見たセルリアも、よろよろと立ち上がると部屋を出ていく。
残されたリヴィアスは、少女のマントのボタンを緩め、フードを静かに外した。
銀の美しい髪が現れ、その美しく整った顔が静かに吐息をしていた。