と、走り続けて数分、私の鼻に何か不思議な匂いが掠めた。 かいだことあるようでない、焦げ臭いような匂い。 ―――焦げ臭い? 私は足を止め、ずっと下を向いていた顔を上にあげた。 目の前には、私の屋敷があるはずだった。 名門スカーレット家の無駄に豪華で無駄にただっ広い、私の牢屋とも言えるあの屋敷が、あるはずだったのだ。 だけど私は目の前にある屋敷の状態に息を飲んだ。 この白い雪景色に似合わず、 赤く熱く、燃え上がっていたのだ。