「きゃあ!」 子供ながらに考えを巡らせていると、風の刃が頬を掠り血がゆっくりと滴り落ちた。 振り向かずとも、あの少女がきっと狙ってやったのだと理解し、あの音を聞いてすぐに追いかけてきた事に身を震わせた。 「お姉ちゃん…!」 ここに居ない自分の姉を小さな声で呼ぶ。 あの姉を置いて、死ぬわけにはまだいかない。 なのに、だんだん恐怖と疲れが押し寄せてくる。 ―お姉ちゃん。 ―助けて。