ORANGE SNOW


―…

「で、てんぱって私に電話してきたっと」

「…です」

電波は通じるらしいこの部屋からセルリアは異常を伝える為に小型の電話機でさくらと通話していた。
その間少女はずっと人形を抱き締めているセルリアを見つめていた。
表情が変わらないのでよくわからないのだがきっと物珍しいのだろう。
仕草そのものは見た目と年相応だな、と少し微笑んだ。

「虐待、ねえ…」

すっかり朝の機嫌の悪さがとれたさくらは複雑そうに電話越しで唸った。

「確かに不自然だね。
黒い部屋、無類の人形、部屋にまでの頑丈な守り、そして痣…」

「今見たけど扉に小さな窓があったわ。
多分食事をここからいれたんだと思う。
それに、窓をあけてみたら鉄格子がかけてあった」

まるで閉じ込めてるみたいに、と呟く。