それを哀れに思ったのか。 いつも傍にいるメイドが少しだけ、と言い、私に合う庶民の服を持ってきて、少しだけ外に出ていいですよ、と部屋から出してくれた。 チャンスだった。 私はそのまま、屋敷を飛び出して町へと逃げ出したのだ。 何もかも私にはいらなかった。 綺麗なドレスも、輝く宝石も、権力も、帝王学も、私にはいらなかった。 ただ欲しいのは、自由だけだった。